Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
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 う〜〜ん、やっぱり30分番組だから、急ぎ足の紹介になってしまうのは仕方ないか....。でも大満足!あぁ、狂える....最狂!

 よくモローは、夢を描く画家だとか、絵で表すデカダンス文学だとか言われるけれど、見れば見る程、納得。神話や聖書の何の変哲もない物語を、劇的にドラマティックに表現してしまうのです!「ありえない世界を創り出す」ために1つの絵に取りかかる前に、膨大な資料を集め、デッサンを幾度となく描いていたようで、そのリアルな表現がより見る人をその世界へ誘うのかもしれません。

 たぶん....神話やファンタジーっぽいのが好きな人には気に入ってもらえるような気がするのです。あと.....「兄くん」も一応チェキだね。w 千影みたいなキャラが好きなら、たぶん、モローの描くサロメにも気に入ってもらえると思います。

 そういえば、モローの描く女性は.......みな微乳(美乳とも書くけどw)だったりします。間違っても巨乳の女性は出てきません。体格もスレンダー過ぎる程、筋肉が見えるくらい、身体が引き締まっています。(別に筋骨隆々というわけではなくて)....中性的だとも言われていますね。それに比べて男が綺麗に描き過ぎ、かも。表情はもちろん好きですが。ルーベンスなどの様に肉感な女性は、本当、出てこないし、表情も、モロー独特。.....あの俯き、瞳を閉じた表情、あれは最高!レダ、ヘロデ王の前で踊るサロメ、オルペウスの首を抱くトラキアの娘、青年と死、刺青のサロメ、どれも大好き! 踊るサロメとトラキアの娘、青年と死は特にね。

 ファンタジーっぽいのも、好き。
若い頃の作品なので、あんまり評価はよくないようだけれど、「アルベレスの戦いの後で逃げ出すダリウス」、「ハムレット」、「飼い馬に喰い殺されるディオメデス」などなど、好きです。人物のポーズがたまらなく好き。毒杯をあおぐハムレットの、腕を食いちぎられるディオメデスの、仰け反ったポーズ。     

 ダークでエッジの効いたのも大好きだ。ヨカナーンの血滴る生首が一番強烈だけど、「求婚者達」の、オデゥッセウスが50人皆殺ししてしまう絵は凄すぎる....。

 だけど、結局の所、モローの絵で一番目立ってしまうのは、ファムファタルだということ....。運命に逆らうことが出来ずに目の前の女に破滅させられる男の姿........これだよねえ、やっぱり。...なんか一歩間違うと、女王様と奴隷みたいな構図になってしまいそうだけど。全く別物です。

 番組でも、どうもそこが強調されていて、それ自体は間違いではないけれど、取りあげる絵の多くがそうした倒錯したものだったので、初めてモローを知った人の中には、ちょっとやばいところに逝っちゃってる人、とも思われかねない気がしました。「メッサリーナ」を取りあげてたし。でもまあ、デカダンスには、あの堕落は必要だし、逆らえない運命がよく表れているし。

 とにかく、番組を見て改めてモローの良さを実感しました。間違いなくこれからもずっとお気に入りです。

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