少し前の話なのですが、先月(vol.54)のCasa、何気なく本屋でぱらぱらとめくっていたら二人の建築家の特集が組まれていたので、買ってしまいました。(ニッポンのモダニズム建築100というタイトルにも惹かれましたが)
この二人は共に建築家なのですが、共通するものは、群馬県だということです。それぞれふたりを群馬に引き寄せたのもまた同一人物、井上房一朗でした。房一朗は、当時、建設会社の井上工業(高崎の白衣観音像を建てた会社として有名)の社長の息子であり、芸術への造詣が深く、芸術家のパトロンでもありました。高崎市に群馬音楽センターという施設がありますが、レーモンドが手掛けた中で最高傑作とも言われています。戦後直後の貧しい時代に、房一朗は「人々の心に灯火を」と、群馬にオーケストラを結成させました。そして、演奏する場の設計をレーモンドに委ねたのです。コンクリート折板構造といって、V字型のような形の中にいくつもの襞の様にコンクリートの壁を形成しています。今まで何度かそこへ行った事がありますが、建物には目を向けていませんでしたので、あまり記憶にありませんでした。内部の写真が掲載されていましたが、改めてみるとその蛇腹のような構造が舞台から客席へ広がっていく様は素晴らしいです。レーモンドは他にも房一朗の邸宅をも手掛けています。(井上房一朗亭 現在は高崎哲学堂の名称)最近になって一般公開されるようになったらしいのですが、是非とも見てみたいものです。意外な事に高崎駅からすぐのところにあるんですよね......。
ブルーノ・タウトは、桂離宮や飛騨白川の合掌造りの素晴らしさを世界へ紹介した建築家としても有名ですが、この人、実は一時期、群馬の少林山達磨寺「洗心亭」に住んでいた事があるのです。房一朗によって工芸品のデザインをまかされ、それらは軽井沢と銀座に井上の持つ店「ミラテス」で売られていたのだそうです。タウトの名こそ有名ですが、日本で手掛けたのはたった2つなんですね。しかも現在拝めるのはたった1つ、熱海の日向別邸のみ。
.......群馬県民でもなかなか知る人はいないのかもしれないですが、群馬県にゆかりのある二人の建築家、なんとなく県民として自慢したくなる話です。
もうひとつの特集(こちらがメインですが)、日本のモダニズム建築を紹介していたのですが、こうしてみると、全国各所に素晴らしい建築が今も静かに構えているのですね。そんな建築達が、取り壊しの危機に遭っているそうです。老朽化や維持費、諸々の事情によりこれまでにも素晴らしい建築が消えていきました。仕方無いといえばそうなのですが、できるだけ残していってもらいたいものです。個人的に明治以降の近代建築はとりわけ好きなので、こういう話は哀しいです。まあ逆の考えでいけば、破壊と創造の繰り返しが行なわれているからこそ、文化の発展があるのだとも言えそうですが。
........ちなみに家で読み初めて気付いたのですが、........あゆが載ってました。丹下健三が手掛けた、国立代々木競技場に対して愛着があるそうで、短いインタビュー(というよりQandA形式)でしたが、まさかCasaで見かけるとは思っていませんでした。そういえば表紙の人物もどこかでみたような顔だと思っていたら、やっぱりあゆでした。むむむ......ヴィトンのコート羽織ってる...\980,000.....? ベルトだけで\280,000?.....うわあ。 そういえば少し前にまたルイヴィトンのお店がオープンしたそうですが、やはり手掛けたのは青木淳なのでしょうか.....そっちのほうが気になる....。とはいえ、誌面に載っていた鋲がびっちり打ち付けられた少し暗めのトーンの重厚なトランクケースは素敵でした。
今月のCasaは安藤忠雄か.......また買ってしまいそうです。あの人大好きだから。
BRUTUS ONLINE [カーサブルータス]
BRUTUS ONLINE [カーサ ブルータス]vol.54 特別号 Bilingual Issue
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seventh-heaven.jp/diary/mt-tb.cgi/140