Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
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あけましておめでとうございます

 今年は癲狂院でのご挨拶となりますが、皆様、どうぞ今年もよろしくお願いいたます。
昨年は、門前雀羅な第七天でしたが、今年はぜひ! 再稼働させたいです。癲狂院はそのための助走、という形で先にスタートさせました。空間的に、ダイナミックに、そして魔的に.....それがコンセプトです。.....でもそんな風に論理的に考えているわけではなく、『ただ単にそうしたいだけ』.....と感覚的に作っているだけです。

 さて、今年の酉年の年賀状、ご覧頂けたでしょうか。
......やっぱり改めて見ると、粗いです........。あの塗りは、スキャナに取り込む際、試しに軽く塗った時のもので、本当はそのまま使うつもりではなかったのです。去年のように、線画にテクスチャなどを適用し、加工してみたのですが、どうも格好悪くなってしまい、どうすればよいかといろいろ試した結果、元のスケッチを元に、素直な感じに済ます事にしました。
 最初からそうつもりだったら、もう少し羽の感じを具体的に描き込んだのですが.......まあ荒々しいタッチも良い事に.....します。ちなみに、この輪郭線、白抜きの部分が、元のスケッチでは黒い線になっています。白抜きの線の周りの黒色は、スケッチではそれほど黒くなく、鳥以外の枠の部分なんかは、鉛筆で汚れた部分なんです.....。何度も書いては消したので、くすんでしまって......。最も黒い部分(=輪郭線)だけをPhotoshopLEでマスクを掛けて処理しました。その後、レベル補正により黒い部分をより強調させた.......という具合です。

 この鳥、なんだかお分かりいただけます?......カラス、とりわけ、八咫烏(やたがらす)として描いたものです。三本足になっているでしょう? 八咫烏は日本書紀や古事記に登場するカラスで、道に迷った天皇を導いた....カラスです。でも最初は、その八咫烏で描いていたのですが、どうもポーズに納得いかず、もっと劇的なポーズがいいなあと思って悩んでいたところ、......カラス....カラス........!!  そうだ、「マリア・カラス」!  それで全ては解決してしまいました。

 というわけで、八咫烏ではありますが、これはマリアカラスの化身.....のつもりで改めてポーズを変えて描いたものです。(下手過ぎてカラス&ファンから殺されそうだけど。)
実は.....マリア・カラスが大好きなんです.......。めちゃめちゃ美形だし、歌声はこの上ない至高のもの。.........でも波乱の人生だった....。ギリシャの海軍王、オナシスとの恋にやつれて、最後は声の出ない籠の鳥になってしまった.......。あまりに可哀想で、あの話を聞くのは辛い事です。もっともあんなくだらない男なんてさっさと見切りをつけて蹴りでも入れて分かれてしまえば良かったのに.......と個人的には思ってしまいますが.........。
 カラスとオナシスは親密になり、カラスは夫と離婚して、オナシスと再婚しようと思っていたのに、オナシスは、あのケネディ大統領夫人、ジャクリーンと結婚したでしょう? オナシスにとってカラスはどうでもよくて、ただのうざったい存在にその後なってゆくのに、カラスはどうしても諦めきれず、子供が出来れば結婚してくれるだろうと目論み、やがてオナシスの子を身ごもりそれを喜んで伝えると、オナシスは.......堕ろせって冷たく言い放ったんだ......。泣く泣くカラスは堕ろすことになり、もうこの辺りでどうかんがえても二人の恋は破綻しているのは明らかなのですが、それが止められないのです。オナシスも、つき合うつもりなどないのに弄ぶ様な感じだったし......ああ、最低な男。晩年は孤独で、歌えない籠の鳥は、若かりし頃の自分の歌声を聴きながら過ごしたと言われています。

 だから、描いたカラスは、威勢良く手を振りかざした様なポーズで天を向いて歌い上げているポーズにしました。
尻尾から続いて伸びているヴァイオリンのfホールをモチーフにしたツルバラは、栄光と華やかさを表したもの。右上、左上にある槍付きの車輪は、受難と神からの法悦を意味するために描きました。どちらの車輪が受難か法悦なのかは秘密.....にしても良いのですが、簡単に言えば、どちらも受難と法悦のつもりです。受難の先には法悦があり、それに向かい歌うしかないという意味を込めています。ま、右上が未来で左は栄光に隠れそうな受難の過去.....という感じ。
ちなみにタイトルに使ったフォントは「Vivaldi」。.......今年の年賀状には、オペラ、fホール....と、クラシックのコンセプトを密かに入れてみました。

 ここまで思いを込めたのなら.......もう少し時間を掛けて描けば良かった.........。ちょっと後悔してます。だって1日で終わらせてしまったから.......。

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