Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
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『變態性慾ノ心理』

 『變態性慾ノ心理』/リヒャルト・フォン・クラフト・エビング という本があります。クラフト=エビング変態性慾ノ心理

 もう随分前に買った本なのですが、そもそもこの本を買った動機の1つに、表紙デザインに惹かれた、というのがあります。CDのジャケ買いの様なものですね。その頃(といっても数年前ですが)はまだ今程、金文体は見かけませんでしたし、何より、この旧字体と金文体の組み合わせが、すごく素敵に見えてしまって。..........中身も......その頃、侯爵(誰だかお分かりですね?)の本を読んでいたので、その心理が知りたくて買ったのももうひとつの動機でした。

 リンク先のアマゾンのページに書かれている通り、この本には、サディズム、マゾヒズム、フェティシズムの3つについて、著者が診察した患者を症例に挙げて書かれています。著者のクラフト・エビングは、19世紀の精神科医で、最初の性科学者なのだそうです。サドにちなんで付けられた「サディズム」の対義語として、作家のレオポルト・ザッヘル・マゾッホから「マゾヒズム」と名前をつけたのも、他ならぬこのクラフト・エビングなのです。

 意外に本の値段も高かったし、なかなか興味深そうな内容になっているのかと思いきや...............、レビューにある通り、症例だけを並べているだけで、しかも同じものや近い症例も少なくないので、飽きてきます......。もっとタイトル通り、その「心理」について何か探れると思っていたのでこれにはがっかりでした。訳者も、原書にはある考察の部分はばっさり省いて単に症例だけを載せるつもりだったそうですし、原書はもっと辞典の様に分厚いもので、上の3つの倒錯以外に、「同性愛」の項目もあったそうです。 .........アマゾンにレビューがもっと早く書き込まれていたらなあ........買った時にはまだレビューが1つもなかったんだもの。まあ最初から表紙買いだったし仕方の無いところではありますが。

 ちなみに、サディズムとか言っても、書かれている症例は、ローソクとか鞭とか緊縛とか(ぉぃ)使ったそういう類いのものではありません。w 犯罪的なものですね......。症例の中には、猟奇的なものもあって、猟奇的殺人や、性犯罪の様なのが多かったです。サドお得意の鞭打ち辺りならば、笑って済みそうですが(そういう症例もあったのですが)............血に飢えてxxx、悲鳴に飢えてxxx、墓場から死体を掘り起こしてxxxしたり、xxxを切り取ったり、挙げ句の果てにそれをxxxり、ちょっと書きたくない事柄ばかりで.....怖過ぎでした。((;・д・))ガクブルものです。
 その点、マゾヒズムやフェティシズムは、けっこう笑えるのがあって、ちょっとほっとしてしまったり。(ぇ) 長い髪フェチとか、手袋、ハンカチ、ビロード、なんかのフェチなどなど.........ますます心理が分からない.........って感じなんだもの。w マゾヒズムはやたら靴で踏みつけられるのが多かった気が.......。いつの時代も同じ様な倒錯者がいるものだなあ...と何故か妙に納得。

 本当....考察の部分がなければ無意味なものになってしまう気もします。尤もその当時にはまだ、精神医学などの研究が進んでおらず、今では考えられない様な理由を元に判断を下している記述もありますから、省く理由もわからなくもないです。でも、それだとタイトルには反していますね。近年、おかしな事件が多発しているでしょう? 神戸、長崎、奈良....ついこないだだって......犯人が同じ名字でえらい迷惑なんだよ! (......同姓同名の俳優はもっと迷惑しているでしょうが。呪いたくなるでしょうね。)  本書に載ってしまいそうな犯罪は今でも起きています。それらを紐解く手がかりが何か見つけられればいいかな、とついでに思っていたので......残念です。


.......とまあ、癲狂院のデザインの元ネタはこの本だったりするかもしれません。本棚を漁って久しぶりに見た時にはびっくりしました。旧字体混じりの金文体によるタイトルの下に、その訳の英語表記は字間が大きくとられていて...............似てますね。真似るつもりはもちろん全然なかったのですが......。


 ちなみに、この訳者についてぐぐってみたところ....とあるサイトにこの本についてのコメントが写真付きで載っていました。柳下毅一郎スペシャルインタビュー
『女のコが勘違いして買う様なオシャレ変態ものにしたかった』........そうだったの.......。無粋野郎が買ってしまったのは間違いだったのね........。orz  そういえば女のコ向けの変態本、けっこう前に本屋で見つけたけど。淫蕩学校 サド×澁澤の最狂コンビの本なのに、こんなデカダンなイラスト付きで出ているとは......! どこかで読んだ憶えがあるなあと思っていたら、ソドムの120日の冒頭部分だったのですね。 こっちはもっとすごいことになっているけど。.......表紙が達磨じゃないの......ジェローム神父............最狂です。

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