Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
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DQ つづき

 III のリメイクもプレイしたのですが、これってメダル集めや新しいクエストが付加されていたりしてファミコン版をプレイした事のある人でも楽しめる内容になっていますが.....メダル集めは正直しんどいです。神竜を倒すのもレベル上げしないといけないし、とりあえずゾーマを倒すまでしかプレイしていません。

 それより楽しめたのがBGM。
ファミコン版のよりも曲が長くなっていたりしてすごく新鮮でした。特にアレフがルドの城のテーマ曲。 一番長尺にリメイクされているし、完全にバロック調になっていますね。あれは傑作! その代わりに、ゾーマの曲(「勇者の挑戦」)がいただけなかった.....。変にいじってしまっていて、ファミコン版のと比べると緊張感がなくなっているのが残念でした。そういえば、II の復活の呪文を入力する時の曲(リメイク版ではファイル選択画面)の「LoveSong探して」も同じくがっかりでした。変にコミカルっぽくなっているし、最後の「タカトコタカトコ」とダブルノートで駆け下りるフレーズ部分も、個人的にはxxxxx。期待していただけに残念です。
 この2曲は絶対オリジナルのファミコン版の方が際立っている気がします。今のプレイヤーはそれを聴く事が出来ないというのは残念です.....。


 それとひょんなことで、スーパーファミコン(SFC)のリメイク版のBGMを聴いたのですが、これはすごい!! 完全にクラシックのBGMになっているんですね.....。驚きました。 たった8音ポリの性能なのに、この重厚感と臨場感。このオーケストラのアレンジは当然、すぎやまこういち本人だと思いますが、さすがです。昔聴いたオーケストラのサントラと同クオリティだというのが本当に凄いです。

 エレクトーンでドラクエを弾いていた時に使っていたスコアを今でも手元に置いてあるのですが、スコア内容は、ほぼファミコン版の3音(パート)を含んだ構成になっているので、曲の具体的な構成が把握出来ます。それを眺めていて気付いたのが、制限ある3パートを最大限に活かしている作りになっている事と、コード進行が巧みだという事です。

 他のゲームミュージックはあまり知らないし、せいぜい比べられるのはファルコムのドラゴンスレイヤーIV(古代祐三)か、ラストバイブル、もしくはJ-POPなどの歌ものなのですが、それらと比べるととにかくベースラインとコード進行が巧みなのです。........何と説明すれば良いのか難しいのですが.....とにかくベースをサウンドの底辺を支えるパート、というよりは、楽曲の中での和声を担う一部分としての扱い方の様な作りになっているような気がするのです。 

 またコード進行も、オーソドックスな進行ではなくて、やはりこれもクラシック方面からの見方で作った様な気がします。理論で言うと、ダイアトニックコードばかりだけではなくて、サブドミナント、その代理はもちろん、パッシングディミニッシュ、和声の流れを意識した様な、ダイアトニック以外のコード.....その辺りはポップスやジャズなどポピュラー音楽でもよく見かけますが、何と言ってもそれ以外の、なかなか理論的に解釈するのが難しいコード進行をふんだんに使っているということ。例えば、「塔」、「ジパング」、「勇者の挑戦」、「ダンジョン」、「幽霊船」など。

 ........引き合いにするのは無理がありますが、前述のドラスレやラストバイブルなどとは全く音楽の作り方が違うと思うのです。最初にコード進行を考えて、リズムを考えて、その後にメロディを乗せる..........のような手法ではなくて、もっと多角的に和声的な見方から雰囲気を作り出す.....そんな気がします。クラシックにはコードの概念がないということだし、そういうことから曲の出来に違いが出て来るのかもしれません。

 だからといって、ドラクエの曲が他の曲より良いとかそういうことを言っているのではありません。スタイルさえ全く異なっていますから....第一比べる事が出来ませんし。すぎやまこういちがハードロックっぽい曲を作るなんて言うのはあり得ないでしょうし、その逆もしかり。でも、敢えて言うとするなら、ドラクエの曲に見受けられる、曲の構築美、技巧さは、他のものより抜き出ている印象はあります。

 だいたい、すぎやまこういちという人は、グループサウンズ(GS)ブームの中で活躍していたというし、ポップス面でも、「亜麻色の髪の乙女」なんかのヒット曲も数多く手掛けているし.......クラシックもポップスもどっちもOKな人なわけですよね。だからドラクエのような、クラシックの気品さや重厚さがありながらもポップな音楽を作れるのでしょう? それになによりも敬服してしまうのが、ドラクエの音楽を手掛ける様になったのが、いわゆる中年辺りになってからというのが....本当に素敵です。別に若い頃に作ったわけじゃなくて、おじさんになってから作ったという事。今でも自称ゲーマーだとおっしゃっているし.....。


 話は逸れましたが、ともかく、II、III の音楽は名曲ばかりですが、 IVの音楽も良い!
 IV(これはオリジナル版....つまりファミコン版)も十数年ぶりにプレイしてみたのですが戦闘の曲がこんなにカッコ良かったなんて! IV はそれほどやり込んではいなかったもあったし、個人的にはIIIのアクが印象的で、IVの洗練された、けれどもどことなくきれいにまとまってしまったような感じがして、あまり記憶に残っていませんでした。
 ゲーム内容にも不満があって、キャラが多くなったのは良かったですが使える呪文がキャラごとに分散されてしまったり、第5章の戦闘では、勇者以外はAI機能によるオードコマンドになってしまうので、はっきりいって戦闘がつまらないんです。他のキャラがちっとも言う事を聞かなくて、奇行が目立つ。w リメイク版ではその辺りに修正でもされているのかもしれませんが、はっきりいってあれには参りました。III みたいに、船を手に入れてからの自由度があまりないし.....。

 でも、改めてプレイしてみて、曲がやっぱり良いのに気付かされました。もちろんIII の方が思い入れはありますが、IVでは戦闘以外に、塔、城なんかが印象的でした。とりわけ戦闘の曲はぴかいち! それまでの「いかにも」な戦闘、おどろおどろしさの雰囲気よりも、疾走感や悲壮感みたいな雰囲気が出ていて、メロディもアクがなく洗練されていて何となく「聴かせる」戦闘曲になっている気がします。 そしてやっぱり作りも一筋縄ではいかないのですね。ほとんどプログレみたいな感じですよね。変拍子の嵐で、展開も激しい。今まで聴いたゲームのどの戦闘曲よりも好きかも.......。


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