昨日、ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」を読み終えました。
600ページ近くある、なかなか長い話ですが、有名なドラキュラですしゴシックホラーとあって、割とすんなりと読めました。
読み始めてまず驚いたのが、ヴァン・ヘルシングが登場していることでした。
一昨年辺りに、「ヴァン・ヘルシング」という、ドラキュラ映画が上映されていたのですが、このストーカーのドラキュラ作品内の登場人物だったとは! .........でも、映画の方ではカッコいい割りと若いヘルシングでしたが、ストーカーのヘルシングは、大学教授で年老いた男性なんですね。
読んだ感想としては..........、ゴシックホラーの古典の雰囲気を味わえた事や、オリジナルのドラキュラを知る事が出来たことは大変良かったと個人的には感じているのですが、ストーリーの展開は、個人的には少し物足りなかったです。
ドラキュラはご存知の通り、夜に活動し昼間は寝ています。昼間は棺桶などの箱の中に眠っていて、全く無防備な状態になってしまいます。ところが活動する夜間のドラキュラは凄まじい。風貌は老紳士のくせに、怪力で人間が束になってかかっても敵わない。そして狼を手下に出来、ドラキュラに血を吸われた者も操れる上に、コウモリはもちろん、霧などにも化ける事が出来、小さな隙間でもいとも簡単にするりと入る事が出来てしまいます。
そんな無敵に近い設定とは裏腹に、十字架やニンニク、聖餅などには近づくことができないし、前述の通り眠っている昼間はどうしようもなく弱いのです。だから、夜間に対決するよりも昼間の寝ている無抵抗なドラキュラを始末する方が簡単なわけで、ヘルシング教授達は、そのドラキュラの眠る箱を探し出していくことになるんです。
個人的には........ドラキュラ城で、ドラキュラと直接対決してもらいたかったのです。銀の弾丸を撃ち込むとか、十字架風の剣やアクセサリーなどで攻撃.........みたいな。
というわけで、アクション性があまりありません。前半は冒頭こそドラキュラ城での話が始まりますが、その後はドラキュラの仕業に由る怪現象を刻々と綴った展開で、総ページの半分ほど進んだところでようやくドラキュラ退治の展開になり、じわじわと眠る箱の在り処を探していき、最後の最後でちょこっと箱の奪い合いがあって終わりますが、抵抗らしい抵抗を1つもせずにドラキュラが葬られてしまうのが.......あっけなくて、残念です。
根城にしているトランシルヴァニアから遥々ロンドンへ赴き、次々と人を襲ったりしているのですが、なんだか登場人物の周辺だけで、イギリス全土を恐怖に陥れる....という感じではないしドラキュラ本人もあんまり登場しないし、その辺りも個人的には........。
もちろん、それでも面白かったことは確かです。じわじわと忍び寄る様な恐怖や、ドラキュラとヘルシング達の策略の駆け引きなど......こんな表現は変ですが「詰め将棋」的な面白さがあるように感じました。
また、ドラキュラの吸血行為の表現なども、おいしい。w
逞しい腕力で乙女を抱きかかえるように引き寄せ、背後からうなじに滑るように口づけして血を奪い、後には2つの歯の痕が周りをほのかに紅く染めながらぽつりと残る........。なんだか愛咬みたいですよね。恐怖と共に官能的な死の洗礼を受ける様な感じで、なんとなくこれがゴシックホラーなのかも.........と実感しました。
このブラム・ストーカーのドラキュラに影響を受け、続編みたいな形で別の作家が書いたものがいくつかあるようなのです。キム・ニューマンという作家が書いたシリーズで「ドラキュラ戦記」、「ドラキュラ紀元」などあって、どうやらヘルシングが破れてしまってドラキュラが大活躍している.....らしいのです。なぜかドイツの撃墜王で有名な「リヒトホーフェン」が吸血鬼軍団を率いていたりしているようで........なんか面白そう。
ストーカー以前の吸血鬼作品として有名な、レ・ファニュの「吸血鬼カーミラ」も面白そう。名前の通り、女吸血鬼で、どことなくビアンぽい感じだとか.............。他にもドラキュラと共にゴシックホラーの古典である、「フランケンシュタイン」や「ジキルとハイド」とかも読んでみたいです。
ゴシックホラーにはまりそうです。(もうはまっているのかw)
ヘルシングよりドラキュラの方を応援しながら読んでいた自分は............たぶん伯爵の呪いにかかってる気がする.....。死んだらきっと吸血鬼です。w
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