Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
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ネットショップ×レビュー

 すっかりネットで買い物する事が当たり前のようになっているのですが、ふと思う事があります。それはネットショップとレビューの影響力。

 欲しい品物を買う前は必ずレビューがあれば目を通しますし、良いレビューだと感じたならばそのレビューを書いた人の他の商品についてのレビューリストもチェックします。他にも例えばアマゾンの場合、「この商品を買った人はこんな商品も買っています...」という風にいくつか表示されているものもチェックします。

 利用する側にとってはとても便利な「はからい」だと思います。興味のある作家の作品を最初に手に取ろうと思った時、どれを手にすれば良いか、レビューをいくつか見ていけば分かります。合わせて買った他の商品というのは、やっぱり同じ指向性を持っていると思える物なのでしょうから、そこから今手に取ろうとしている商品が一体どんなモノなのかを、分野的に判断できると思うのです。そのリンクを次々と辿っていくと、また最初の商品がリストアップされている場合もありますし、思わぬ商品へ出くわす事もあります。

 そういうハプニング的な出会いを求めるのが、新しいトビラを開いていく様でとても楽しんでいます。そういう意味で同じように、気になったレビューを書いた人のレビューリストを見るのも興味深くて、こちらの方が新しい出会いを得る確率が非常に高くて、それを知ってからはよく見るようになっています。

 自分が手に取ろうとしている商品を同じように手に取った人が、必ずしも自分と同じ様な志向性を持つわけではないということがとても良く分かるのです。たまたま自分と同じ音楽、本などを手に取っていても、レビューリストを見るとそれがぴったりと平行にくっついた線ではなくたまたま通り過ぎた点でしかない場合が、意外に多いのです。

 例えば自分も持っている(あるいはこれから買おうとしている)同じ音楽(CD)のレビューを書いていたからといって、例えば他の商品のレビュー...本やマンガが、自分の好みとは全く異なっていたり、あるいは自分の知らないものばかりだったりもしますし、そんなリストから惹かれそうなものに目が留まる事があります。この瞬間、新しいトビラを開いたわけです。

 こういう思いがけない出会いは、ネットが無かった時代には少なくとも自分には到底出会えなかった情報です。自分が手に取った商品を、同じく手に取った人がどう感じて、またその人は他に何を買っているか.........はたまたその人はどんな嗜好の人なのか、なんてことは何も分からなかったのです。そして次に手に取ってみるべき、取るであろう、商品も、出くわせなかったり、出くわすのに月日が掛かったのかもしれません。


 そんなネットショップとレビューの影響力の大きさを実感すると共に、それ故にある種の脅威も感じずにはいられません。そのようなレビューは、誰もが書き込めるレビューです。ネットが無い時代にレビューしそれを多くの人に提供することが出来たのはおそらくいわゆる評論家の類いの人だけだっただろうと思われるのです。ピンキリがあるとはいえ評論家としてもの申す以上はやはりそれなりのモノを評価できる力があった上でのレビューだったと思うのです。

 しかし今では評論家ではない、それに対していえばいわゆる素人である一般の我々がレビューできるのです。掲載されているレビューが的確であるかどうかは何とも言えません。尤も評論家の意見でさえアテになるかどうか疑わしい場合もありますけれど。それでもネットショップのレビューでは参考になったかどうかの票数が併せて表示されているので、それが判断する手がかりの1つにはなるでしょう。1つの商品にある程度のレビュー数があるものは総合的に判断できますが、レビュー数が少ない....1つしか付いていない場合で、票数(ここでは総票数)も少ない場合は、.......個人的には判断に困ってしまいます。他にも例えばあるミュージシャンや作家の作品の場合は、ファン心理的な判断のレビューが多いので、客観的なレビューだったとしても、それが何を基準にして客観的判断をしているかどうかが、自分とは食い違っている様な場合がときたまあるように感じます。それでも何もレビューがないよりはずっと有り難いことですが。


 当たり前と言えば当たり前のことを書いてしまい、なんだかばかっぽいですが、ネットショッピングする時そんな風に思う事があるのです。結局のところ、現在の情報社会ではいかに溢れる情報を、正確に判断できるかどうかが重要なのだということですよね.........。でもそれはなかなか難しい事ですし、判断するのも面倒くさくてそのまま目にした情報にまかせてしまうこともあるでしょう。それが一概に悪いというわけでもないですけど。近年はブログなどの影響で、瞬時に情報が伝わってしまうし、情報に対して過敏になってしまっている状態とも言えるかもしれません。

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