Diary of a madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
  2007
previous December next
 
S M T W T F S
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

2007年12月03日(月曜日)

 前回の続きです。


..........前々から思っていたのですが、ウィキペディアの「春琴抄」の解説はやっぱり解せません。両目を針で突き刺し自ら盲目となったのは「つまり佐助(谷崎)は、自らのマゾヒスティックな趣向を満たしてくれる女性を必要としているだけであって、献身自体が目的であるわけではないのである。」とはやっぱり思えないのです。「春琴が年を経るうちに軟化してきたことに対し佐助が拒絶を示している」とも思えません。もしもマゾで嬲りものにしてほしいと思うのならば、春琴を煽り煽って怒らせた方が手っ取り早いはず。

 しかも、いくら谷崎の自叙伝的な作品「異端者の悲しみ」で己のマゾヒズムの欲望を叶えてくれる情婦を探し求め歩いたとはいえ、佐助が谷崎自身とは思えません。...........よく、谷崎自身がマゾだということが周知の事実であるからと、作品全般において単にマゾな作品だと決めつけるのは短絡的な気がします。


 自虐の上での愛情.......そういうふうに思うんです。たとえば運命の女神に翻弄されても.......つまり宿命の女=ファムファタルだったとしても、自らが破滅の運命を辿ることになっても、それに気づいていたとしても、宿命の女と対峙するには、それしか方法がないのだと...........個人的にはそう思っています。それこそが宿命の女の愛情に応えられる唯一の方法でもあると......思います。虐げられ嬲りものにされるのが目的なのではなく、それが手段なのだと。

 たとえば、「宿命」の女に身を滅ぼされるかといっても心中するわけでもありません。仮に同時に死ぬことになっても宿命の女は男の為に死ぬとは到底思えないからです。(......でもまあ死後の世界あるいは転生後でも、女は魔界の王女になるか亡霊かになって未来永劫、やはり転生した男にしがみついている、とかはありえそうですが。)男は自らの死をもって己の願いと欲望を応え、女はそれを愛情と受け止めるのだと思うのです。愛する運命の女神の御胸にその骸を委ねることで願いは叶うのです。..............怪談「牡丹灯籠」では、幾度の前世から宿命づけられていた男女が、女は亡霊となって生身の男へ通いそして男は骸に成り果てる........ただし登場する男はそのランデヴーを拒否していましたが。w 

 悪女と宿命の女はそこが違うと思います。悪女はおそらく永遠に虐げるままかもしれませんが、宿命の女には男の破滅の代わりにきっと褒美を与えるはずです。(とはいえ女は男が破滅するとは思っていないかもしれませんが。) 勝手に男が死んだだけ.....と思うのは悪女なだけで、宿命の女は宿世に定められた運命が流れる血を身体で感じ、差し出された骸を愛しく思っているはずです。ワイルドの「サロメ」などがその例ですね。


 話はそれますが、刺青も同じように思う時があります。
苦痛に耐え、(消すつもりがなければ)一生を背負う刺青を身体に彫り込むのです。あれをマゾだという人はいないでしょうが、「結果的に」自虐的な欲望であることには変わりはありません。同じく谷崎の作品「刺青」は、それに加えて宿命的なものを感じます。刺青師が女に見せた絵の通りに女は刺青を入れることによって覚醒します。多くの男の骸の上に立つ魔性の女に。故に観念的である作品だから、あの作品は大好きなんです。単に「刺青」の言葉を引用するだけの作品とはそこが違うのです。

† | トラックバック | Topへ▲



2007年12月06日(木曜日)

 imgimgimg

 なんとか作り終えました。
当初は去年ほどではないものの、よくある油彩画の風景画みたいなものにしようと思っていたのですが、今回は時間が本当になかったので、とにかく短時間で作れる画風のものを、と考えました。前に、去年はモネ風だったから今年は山水画みたいなのでどう? と言われたことがあったので、和風のものの方がいいかなと思い、そうなれば短時間で描ける→絵が単純化されている→琳派......ということで琳派風にすることにしました。


 琳派をご存知の方ならば、言われなくとも絵を見てすぐにわかると思います。琳派といえば尾形光琳や俵屋宗達が有名です。琳派とは宗達光琳派ですね。俵屋宗達は正確な生没年や詳しい人物像なども未だに分かっていない、謎な画家のひとりですが、おそらく安土桃山時代の末から江戸初期にかけて生きた画家であろうといわれています。光琳は江戸中期、このふたりが琳派のオーソリティとして、元々は京都に興った芸術でしたが19世紀以降は次第に江戸へと移り、酒井抱一や鈴木其一などが活躍し、これらを江戸琳派と呼んだりもします。

琳派は、絵画のみならず工芸品にまで広く範囲を広げ、絵を様々な媒体へ活かすために、使われるモチーフをパターン化している点などに気づかされます。光琳は有名な「燕子花屏風」で型紙を使って....今で言えばコピペですね.....燕子花のモチーフをシンプルながらそれを反復させ、リズム感のある配置、大胆に余白を活かした空間、そんなところが個人的には好きです。


 光琳や宗達も好きですが、以前、琳派展を見にいって、酒井抱一や鈴木其一の絵にいたく感激しました。先述の通り江戸琳派のカテゴリーに入る画家です。何というか叙情的で、どこか瑞々しさを感じさせる.....そんなところが好きです。


 さて、そんな先人たちの絵を参考に、絵を描いてみました。琳派の絵にはスイレンは描かれていないモチーフだと思いますが、この平面的で、単なる円形であるスイレンの葉を活かすには、やはり単純ゆえにパターン化して絵に流れとリズムを生み出すのが良いと思い、手前から二手に分かれ、やや右斜め上へゆるやかにうねるような流れを感じさせるようにスイレンの葉を配置してみました。その際に、葉の大きさと葉の切れ目を上手く配置し、重複しないように気をつけ、流れのポイントとなる箇所にはやや大きめの葉を置いてみました。

 モネのスイレン画で、水面に映る風景が素敵なので、最初からそうしようと考えていました。実際、限られたスペースでたくさん描くには、同じ方向から描くよりも上下それぞれに描く方が隠れずに掛けますし、空間も活かせます。琳派ではそういう水面に映るような絵はないと思うので、なかなかよいアイデアではないかと思っています。

それで、水面に映る植物は特に決めておらず単にアシのような植物を描いておけば良いや、なんて安易に考えていたのですが、それではどうもいまくいかない。単に風景を写しているだけのように思われてしまって、どうもかっこわるい。これならいっそスイレンのみにしようかとも考えました。大胆に余白を活かすことも琳派の特徴ですから。でも大きな屏風ならともかくハガキ大にスイレンの葉だけというのは、ちょっと物足りないように思われて.........琳派の画家がこぞってモチーフにした燕子花を描いてみることにしました。

 燕子花は花をネットで調べた程度であとは好き勝手に描きました。葉茎の部分は燕子花のそれではないと思います。でもそれでもいいんです。今回は現実に似ていなくても似合ってさえすればそれでOKにすることにしました。燕子花の花も単純化させてそれを1つ1つ部分的に変化させています。


 制作に使ったソフトは.......「Expression」というソフトにいつもの「Photoshop Elements」、それに「Fireworks」です。「Expression」というのは実は無料のソフトです。バージョンが上がるにつれ販売メーカーが変わり、現在はマイクロソフトだったと思いますが、どういうわけかバージョン3のものを無料で公開しています。それを知ったのは1年くらい前で落としてみたもののこれといって使っていませんでした。イラストレーター系のドローソフトです。フリーでも描けますがベジェやスプラインで描いていくあれです。

 今回は制作のほとんどをそのExpressionで作りました。燕子花の花とスイレンの葉の塗りをPhotoshopで、ExpressionからPhotoshopへ出力できなくて困っていたのですが、試しにFireworksで開いてみたらエラーもなく再現されたのでほっとしました。Fireworksは塗りの後、文字入れで再度使いました。何かと柔軟にサポートしてくれるFireworksは頼りになります。ちなみにバージョンは4。何年前のだ。w

 塗りは案外らくにできました。スイレン葉は、ブラシを「ドライブラシ(散布)」か何かを選んでExpressionでべた塗りしてあったうぐいす色の下地の上から暗赤紫色で一度フチを中心に塗り、その後部分的に濃い緑色で塗りました。本当はその後、影や立体的に感じさせる塗りをしてみたのですが、画風に合わず結局使いませんでした。今回はとにかく平面的。影はなし。でもそれがいい感じです。

背景は屏風にあるような箔が貼られているものにしてみました。群青色や黒などを制作途中に試してみたりしましたが、琳派の絵を見ていて気づいたのですが、シンプルな絵なだけに背景が複雑なテクスチャをしていたほうが、それが対比となって良いコントラストになるのではないかと思い、琳派に倣いました。ただし喪中用なので金箔は無理ですから銀箔にしました。去年のイノシシの年賀状もそうでしたが背景は素材に頼るのもよいかもしれません。


 宛名面はおまけ。
通信面が水面に映る上下反転絵なら表は逆にして背景にしてみようとアイデアが浮かび、印刷がその分面倒でしたが、その甲斐はあったと思います。


 個人的にはとても気に入っています。久々に思い描いた通りのものが出来ました。........でも.....技術的には相変わらず中学1年生レベル..............。こんなのを使って親の面目は立つのかどうか......心配です。だいたい去年も描き終わってから気づきましたが、歴史に名を残す大家に倣おうとすること自体、甚だしく無謀なのです。モネを降臨させようと思ったら光琳を降臨させてしまったとか、そんな寒いオチもこの出来映えだったら恥ずかし気もなく言えそうです。w

 だって今回は時間を掛けなかったのはもとより、使ったソフトは無料ソフト、タブレットも必要ない描き方................手を抜いたわけではないのですが、絵を描くことに対してナメ過ぎです。だからいつまでたってもろくな絵が描けないのだと思います。・゚・(ノД`)・゚・シクシク

 というわけなので、まさかとは思いますが.............喪中用などに使わないでくださいね。素材ではありませんので。


† | トラックバック | Topへ▲



2007年12月07日(金曜日)

 喪中の次は年賀状です。
さあ......本当に本当にどうしようか。
こちらは自分用なので絵柄は何でも良い。だから好き勝手に色んな絵にチャレンジしています。チャレンジ.....は少し大げさかもしれませんが、絵がうまくなりたいのでいつもその時の今よりも少し高いハードルを設定しているつもりです。

 しかし今年はアイデアが浮かばないばかりか、喪中の方が自分の労力以上に良い出来になってしまったので、大問題どころか超大問題へと発展してしまいました。.........喪中のスイレンみたいな人物ではないもののほうがやっぱり描きやすい。だって楕円形を描くだけだもん。w 去年のイノシシから、いわゆるアニメ塗りみたいなのを始めてみましたが、慣れていないせいか難しいです。画風はそれまで描いてきたものと何ら変わっていないので変わったのが塗り方だけなのですが、あの塗りたい色を決める、探し当てる、のが非常に苦手です。紙に絵の具を使って塗る場合と勝手が違う気がして。パレットで色を混ぜ合わせて色を作りますが、ソフトだとそんなことはありませんよね、Photoshopなどの場合。しかも色見本が小さくて分かりづらいし.......他の人はどう色を決めているのでしょう。

 色々、機会があるたびにCGの描き方をネットで調べるのですが、影とかハイライトの場合、色を決めて塗らないで、下地の色に近い色を適当に選び、焼き込みレイヤーにして塗っていく方法を採っている人をけっこう見かけました。確かにそれだとおのずと下地の色にマッチした色になりますね。

......なーんて描き方を見てこれなら描けるぞ!と意気込んでも、実際に描くとそうはならなかったり.................。

詰まる所、腕次第、ってことです............。

 今年はどうしても人物を描きたいんです。←これが自分にはすごい高いハードルなんです。前にも愚痴りましたが、動物ならば不細工だろうが各パーツのバランスが崩れていても、まあOKなのですが、人物はそうもいかないですから.....。よくパーツのバランスが見事に崩れて、いかにも初めて描きました! みたいな絵をたまにネットでも見かけますが、あれは........他人に見せるのはキツい....キツ過ぎます。いや誰もが通ってきた道なのかもしれませんが、どうしても自分はイヤなので、あれこれ策を探っている、というわけです。


 汚い人間なので、人物キャラが上手く掛けなかった場合、今年の年賀状、たぶん動物のみになると思います。w
(´;ω;`)ブワッ なんて薄汚い........。

† | トラックバック | Topへ▲



2007年12月09日(日曜日)

 いつのまにかこのブログに書き込んだ数が700を超えていました。ブログを設置する前は日記だなんて.......そんなのいつまで書くネタが続くのかな....なんて思っていましたが、結構続きました。

 しかしあまりにもイカレっぷりの内容からか、お見舞いにきてくれる人はごくわずか。ま....隔離されているいるので当たり前といったら当たり前で、むしろタイトル通りになったわけです。癲狂院 狂人日記..........たまーに脱走して人様のサイトへ迷惑な書き込みしてる具合も、リアルすぎて笑えません。後は書いてる本人がならないように祈るばかりです。.........タイトル変えようかなあ。

 いや実を言うと変な話ですが第七天でのHNは別に用意してあるんです。他のコンテンツもそれぞれ。でも未だにHN決めに納得いかないしそのことをブログに載せようと思って下書のままで放ったらかしだし。


いや、それでもオレは抜け出して第七天に棲むんだ。来年こそは絶対そうするぞ。もう狂人日記も書くのをやめて癲狂院もめでたく廃院だ。w

実際のノートに今まで書いてきた文章を書いたとすれば、本当.....何冊になるかな。個人的に良いコンテンツになって良かったです。

 絶対、癲狂院のベッドから抜け出すんだ。

† | トラックバック | Topへ▲



2007年12月19日(水曜日)

ウワーン.........気づいたらもう今年も残りが10日しかないよぅ。
年賀状..........全然出来てない...........。
おまけに体調を崩してたからネタも全然練ってない...............。

喪中のような植物だけじゃなくて動物、人物を描かなくちゃいけないのに〜〜〜っ!!!
個人的難易度だと、
植物<<<動物<<背景<<<<越えられない壁<<<<人物
なのに...........。ハードルを3つも越えなくちゃいけないのに、しかも越えられない壁が.........。・゚・(ノД`)・゚・

やっぱりネズミだけにしようかな...........。
ネズミは相対的に小さい動物だから.........案外レイアウト面でも苦労しそうだし、本当にどうしよう。

どうにかなるさでどうにかなるわけないよ〜〜〜〜。
うぅぅぅ、今度は誰を降臨させたらいいんだーーーー!!!

ほんとうにほんとうにほんとうに出来ないかもしれない......年賀状。
このままだと元日に投函する確率が高いです。まだ10日もありますが、無理です。
しかし遅れて届いた場合は、それを挽回して納得させるだけの出来映えにしなくてはイメージダウンだし..........。

(´;ω;`)ブワッ
(つд⊂)エーン
・゚・(ノД`)・゚・
( ;∀;)
つд`)ウウッ

† | コメント (2) | トラックバック | Topへ▲



2007年12月29日(土曜日)

 ...............年賀状ですが.....................、
誠に誠に申し訳ありませんが、今年は大幅にお送りするのが遅れる事になりそうです。
いまだにまだ下書きをしていたり.........するんです。(´・ω・`)
なんでこんなに時間が掛かったかと言えば、それは単に技量不足としかいえないのですが、
とにかく、投函できるのは、年が明けてからなのではないかと思います。
この十日間ほどずっと年賀状制作に時間を割いていたのですが...........まったく本当に.........こんなに遅れてしまって.........申し訳ありません。

今年は31日大晦日も年賀状制作です。
............やっぱり自分には人物を描くのは難しすぎました。
カチャy=ー( ゚д゚)・∵. ターン

† | コメント (2) | トラックバック | Topへ▲


癲 狂 院 [+] -Cruel Insane Asylum- Copyright© Yusuke Kobayashi S E V E N T H † H E A V E N メール
TopUp HiUpDownDown HiBottom