Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
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廃虚の足尾銅山

今、廃虚がブーム.....というのを、エキサイトのサイトで見たのですが、これってホント?  でも何か惹かれるものがあるというのは、同感です。 というのも自分にもそういうところがあるから。


 そんなわけで今回は、もう数年前('95,96頃かなあ)なんですけど、栃木県の足尾銅山に行った時の感想をちょこっと書いてみようかと思います。ちょこっと涼しくなるようなネタも含めて。

 足尾銅山は、歴史の授業などで教わったりしましたが、鉱毒で有名ですよね。でも今回書きたいのは観光のことよりも、その独特の風景のことなんです。足尾町に入った途端、昔の建物があちこちにあったりして、なんかタイムスリップしたように感じるんです。
 
 で、一番インパクトが大きいのが、観光地よりも上流に行ったところにある製錬工場(だったっけ?)の建物と、辺りの風景が、時代と共に取り残されたかのような風景なんです!

 鉱毒の痕なのか赤茶けて変色した岩肌の間を川が流れている(しかも水面近くは緑青の様なこれまた無気味な色)すぐそばに(崖の上に建っているような感じです)、その廃工場(でも、中に車もあったし人もいるようなので、管理されている様です)があるんです。その建物も錆で茶色く今にも崩れかけそうで、すごく無気味です。川岸の手前には、民家があって、きっと昔は坑夫達の住居だったのでしょうけど、いまはひっそりしていて、お年寄りが多くて......、失礼ですが、まさにゴーストタウンの様でした。周りの山は、公害の影響か、はげ山ばかりだし.......。

 さらにその先にいくと、きちんと整備されたちょっとした公園みたいな場所があって、そこで行き止まりなのですが、そこから下流のその廃工場を見渡すと、すごいところにきてしまったなあと思わずにはいられない景色が.......もうなんかタイムスリップという感じでした。

 普通の人はそこまで来ないのかも。道も狭くなるし、坑道を見学できる観光地とは違って、明るさが感じられないし、昼間でも気味悪いです。


 なんでそこまで行ったかと言うと、随分前に雑誌で、その廃工場の写真を見たからなんです。その写真からでも、現在の風景ではないとわかるくらい異様な光景でしたから、今どきこんな風景があるのかと、驚きました。

 その写真ともうひとつ気になったのが、足尾観光地の近くにある山に、汚水をせきとめる砂防ダムみたいのがあるらしいんです(緑化公園の先にある砂防ダムとは別物だとおもいます)が、そこにはかつての鉱毒がいまでも残っているらしくて、大雨で溢れるとかなり危険らしいとかで.......。写真にはその茶色の汚水が溜まっている状態(だったと思う)で、観光地でお店の人もそう言っていたので、確かにあるんでしょうけど、どうも人目につかないところに道があるのか、ちょっとわからなくて行けませんでした。行くべき場所ではないでしょうが(お店の人は「そこへいかないと足尾のことは分からないよ」とおっしゃっていましたが....)。 やっぱり緑化公園の先の砂防ダムのことなのかなあ。でもあそこはきれいな川が流れているし、雑誌で見た写真jはどう考えてももっと山の上なんだよなあ......)謎な場所です。


 でもなぜかそんな場所に惹かれてしまって......2度も行ってしまいました。(2度目は、日光のついでだったけど)

 観光地の方はもちろん観光客で賑わっていて、坑道を見学できるので中へ入ったのですが、いろいろ資料や展示物があって楽しめるんですが、独特の空気の臭いとすごく冷たくて........それと、人形の坑夫がコワいです。当時の作業の再現でカックンカックン動くんですけど、あれ無気味だったよ、絶対。 
(そういえば坑道内は狭くて、他の観光客を避けようとして思いっきり頭を岩壁にぶつけてしまって、相手に「大丈夫?」なんて言われる程、痛かったよう。).......ちょうどその時、『ここではきっと厳しい労働作業で亡くなった人もたくさんいるんだろうなあ』なんて考えていたら、霊でもでなきゃいいけど....なんて思ってしまって.....気が動転してたんですよね....。(冷汗)

 というのも、群馬から栃木方面(足尾・日光)へ行くには、(たぶん)一本道しかなくて、そこの道がまた民家もなくて、木々ばっかりで、極め付けなのが、黒保根村っていう村があるんですけど、そこへ入ってすぐのトンネルが.........まあいわゆる心霊スポットでして、怖いんですよ。短いトンネルなんですが、トンネルの入り口に供養碑があって、ゾ〜ッって感じ。 他に道がないから、足尾や日光方面いくには必ずあのトンネルをくぐらなければいけないっていうのが、ちょっと勘弁してほしいです。 そこのスポットは、事故多発地帯で、なんでも昔、お城があって落城したとかどうとかで.....。供養碑を立ててからは、事故はなくなったと聞きますが、あれを目にしてしまうと、やっぱり怖いよ。

 霊感もないので、霊をみるとかそういう体験はないですけど、そういう場所には行きたくないしイヤなんですけど、そこ通らないと日光などへいけない......。まあ"わたらせ鉄道"という足尾までノロノロいく鉄道もありますが、(一度乗ってみたい気もします)

 そういえば、足尾の駅もさびしげな感じでした。
終点駅の間藤駅と足尾駅、(通洞駅だったかな?)、この2つだけはかなりレトロでダークな感じが漂ってます。 2度目に行った時は、納涼祭?か何かのお祭りで、駅周辺は賑やかでしたけど。その駅や、町役場など、ほとんどの建物が当時のままだったと思います。で、謎なのが、この2つの駅の間だけ往復するダイヤがあるんです。しかも早朝と夕方。(時刻表を見たらそうなっていて......これは何故なの? なんか気になるぞ。)


 行ってきた感想としては、興味本位で行ったのが公害の恐ろしさを痛感して帰ってきたという感じです。下流の観光地だけで帰ってしまっては意味がないのかもしれません。公害で町が廃れてしまった光景を目にすることが重要なのかもしれないと、あの景色を見てそう思いました。公害の傷跡は、凄まじいということなんでしょう。その後の町の発展を止めてしまったかの様で、かつての繁栄とは裏腹の寂しい現在が悲しい。日光の華やかさとはまるで違って、レトロやクラシック、っていう言葉よりもドゥーム(Doom)って言葉がピッタリの、町でした。 足尾を目的にする人は、あまりいないのかもしれません。日光のついでいみたいな.....。それに観光ガイド本とか見ても、日光と足尾の扱い方がずいぶん違う気がします。確かに足尾には華やかさはないに等しいです。

 とはいえ、それでもあの廃工場をバックに何枚も写真を撮ってしまったりして....これってメタルバンドののプロモ映像にもってこいかも?なんて思ってたりしてましたけど。 あの風景は行ってみないとわからないですね。インターネットで調べればその製錬所辺りの写真があると思うので、チェックしてみてください。


 それでも緑化運動や人々の努力によって、少しずつ町並みはきれいになり、活気も出てきているかもしれません。事実、最初に訪れた時には緑化公園はありませんでした。きっと今は、以前よりも緑が増えているのかもしれませんね。いつか緑に包まれる足尾になる様、祈ります。

 でも........あの製錬所はそのまま残しておいてほしいな......かつての公害を映し出す鏡のようだし。


 なんだか暗い話でしたが、ハイキングコースや、楽しいところもあるので、ちゃんと楽しめる場所です。
......ちなみにまた行ってみたいです。なぜかあそこには惹かれてしまうんです。(まだ見飽きない様です。w)


 なんか話の流れ的には群馬の心霊スポットに流れそうですけど、怖いのでやめときます。いや、スポットだということを知らずに行ってしまった、っていうのがけっこうあるので、話のネタにはなるとは思いますけど........やめておいたほうがいいと思うので.....。とは言っても話したがリ屋なんで、書いてしまうかもしれませんけど。

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