Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
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本を読んで......

 掲示板でも書き込みした通り、人生で初めてというくらい、「まともに」本を読んでいます。というかほとんど「初めて本を読む」って感じです。(恥)

雑誌やらマンガだったらそりゃ読んでいますが、あれは本、図書とは言いにくい。( 自分だけかもしれませんが、図書券でマンガや雑誌を買うのに、抵抗があるんです。図書券が可哀想かなあって。雑誌といってもギタマガとかサンレコとか、まあ音楽制作のために買う雑誌とかなんで、自分にとっては教科書みたいな存在なのですが.....。)

 それで、ここしばらく掲示板やコラムで書いてきた様に、どうも自分における日本語の理解、語彙、知識が少ないなぁって日々少しずつ思ってきたことが、最近になって爆発して、本を買い込んだ、という次第です。昔から、親にさんざん本を読め読め言われて無視し続けてきて、今になって「あちゃ〜」って感じ。まあ、後悔しようと思えば後悔できますが、今気付いたのならまだ大丈夫かなあって(ん?手後れ? しょうがないな....カチャy=ー( ゚д゚)・∵. ターン)

 そんなわけで本をいくつか買ったのですが、それぞれ買う理由があります。


「西条八十詩集」
西条八十を初めて知ったのは、CHAGE&ASKAのASKAさんの1stソロアルバムにてカバーされていた「蘇州夜曲」でした。子供ながら、ずいぶん古風で素敵な歌詞だなと思っていました。曲を作っている自分として、歌詞も作ってみたいしそんなわけで歌の詩も作っていた西条八十の詩が読んでみたいな、ということで買いました。それだったら阿久悠さんとかでもいいでしょう、とか思われるでしょうが、以下に挙げる人達も同じ理由ですが、日本の古風だけどどこか新しい、そんな時代を感じさせる「明治/大正」の頃の言葉に触れたい、というのがあるんです。特に明治という時代は、それまでの鎖国時代から解放されて一気に新しい文化が輸入されてきて、当時の人達が必死になってそれをきちんと吸収し、言葉においては、外来語を見事に日本語に作り替えた.....。今の日本って、入って来た言葉ってそのまま吸収せずに、そのまま入れてしまうじゃない? 英語のまま。 新しい日本語は生まれてきてはいるけど、新しい熟語とかは生まれないですよね? 終戦迎えてストップしちゃった、そんな感じ。 

 そういう時代の言葉に触れたいとそう思わせたのが、偶然知った「ゴンドラの唄」。その中に出てくる「恋せよ乙女(少女)」。この言葉が以前から気になっていて、どのミュージシャンか忘れましたが、曲名とか、あとなんだったか、ゲームか何かのサブタイトルとかにも使われてたようだったので、これはもしかしたら元ネタがあるんじゃないかと思ってググってみたら、「ゴンドラの唄」にたどり着いたことがあります。 明治時代に書かれたと言うのに、すごく素敵で瑞瑞しい雰囲気だなあって感動しまして......これは他にもいい詩があるかも!って思って、たまたま知っていた西条八十の詩集を買うことになった経緯もあります。

 ヨーロッパに留学していたこともあってか、和風な中にも、繊細なヨーロッパの雰囲気がほのかに感じるような箇所が所々見受けられて、そのバランスが好きです。気に入っているのか、「薔薇」や「病める」「亡骸」「蒼白めた」などの言葉が時々使い回されていて、いいですね....。個人的に好きです。ちょいヴィジュアル系(?)みたいな感じなのかな.....。まあとにかく今でも通用するような詩がたくさん詰まっていると感じました。 個人的にはこの人の詩は、氷付けの薔薇、あるいはガラスの薔薇、って言葉があうような..........そんな気がしました。どこか暗く冷たい雰囲気がするものが多く、自分にぴったりでこれは買いでした。


 西条八十の流れと、少し前話題になった、「金子みすヾ」。
この金子みすヾの詩は、とっても優しく、ほんと心が和んで、一遍一遍読み終えた後、心が晴れるような、そういう気分にさせてくれます。難しい言葉は使わず、やさしい口調で堅くない、気取らない、ふっと辺りの風景から取り出したような詩。本当、もっともっと早く有名になるべきだった詩人ですね。 そんな人が、自殺だなんて......悔しい。あのダンナは逝ってよし! 遊廓フラフラして家に帰ってこないわ、おまけに病気を持ってきて感染すわで..........本当、残念でならないです。


 遊廓、といえば、樋口一葉の「たけくらべ」。
この人の作品は、実は大分前から読みたかったもので、今回買った物の中で一番読みたかった作品です。今度刷新される紙幣(五千円札でしたか)に載るということで、話題にもなりましたが、それをいい機会に読むことにしました。  ..........この人もまた夭折....。享年24歳。同じ年だ。とてもじゃないけど比べられない.........。もしも一葉に会ったら速攻で蹴りでもくらいそうな自分に激鬱....。

 「たけくらべ」には将来遊女にならなければいけない少女と、僧にならなければいけない少年の淡い恋のお話なんですよね。お互い惹かれ合っているけれど、決して交わることのない運命が二人にはあって、それがすごく哀しい。遊女と僧、ある意味、二律背反な登場人物、いままで何も考えずはしゃいでいられた日々だったのが、吉原の暗い闇にふたりを次第に包みはじめる......そんな設定が、ぐっときます。最後の、格子窓から少年から送られた水仙の花を見つめる場面、哀しくも綺麗ですね.........。

 一葉の作品はどれも短編で、ラッキーだなんて思っていたけれど、書かれた時代がまだ明治の中期、知らない言い回しや言葉、風習などがたくさんでてきて、最初は慣れるのに大変で、何で現代誤訳が出ているんだろうと思っていましたが、そうだったんですね......。でも理解しようとして何度も何度も読み返すことができて良かったですが。

 一葉が女性だったからか、話の主人公は女性の場合が多いです。
しかも大抵生活を苦労している設定ばかりで、泣けてきます。しかも最後は別れたり、心中、など、辛い最後が多いような......。それらが、当時の明治時代の女性の立場を反映しているのかも。例えば、離婚してしまったら女性の場合は、もう遊女しかほぼ選択肢がなくて(今でこそそんなことはないですが)。これって男より女の人が読む方がいいのかも。っていっても時代が違うし、あんまり関係ないか。

 話はそれますが.......、亡くなるおおよそ1年半の間に傑作が生まれたらしいですが、それってランディ・ローズにも当てはまる様な.....尤もランディは事故死だけれども。なんだかとても不思議なことです。急に世の中に現れたかと思えば、急ぎ足にわずかな作品を残して去ってしまう........。どうしてそんなに急いでしまうのって、思ってしまうんです。

ちょっと長くなったので、分けます。

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