東京駅に設置してある東京ステーションギャラリーという美術館で現在展示されている山口薫展を見てきました。両親が好きで、また弟も帰省してきているので、一家そろって見に行ってきました。なんかほとんど連行状態だった気もするけど...。
山口薫という画家は、何を隠そう、我が群馬県出身(箕郷町出身 当時箕輪村)の画家なのです!日本美術史にも名を残す画家です。なので、群馬県立近代美術館にも多数所蔵されていて、過去に幾度か展示もされていますが、今回、ステーションギャラリーの展示には、各美術館の所蔵のものからも多数展示されているもので、内容はかなり充実していたようです。
いや、実は、今回この展示を見るまで、山口薫の詳しいことは知らず、数点をちらっとしか見たことないので、正直、予備知識はほとんどなしの状態で見てきました。(連行されたわけだからw)
しかし......実物を見ていくうちに......けっこう感動。粗朴で、優しさが溢れる雰囲気で.....。画風は、初期の頃は印象派に影響を受けたような感じなのですが、その後は、抽象的な描き方になっていて、"一見、見ただけでは何が描かれているのか分からない"という感じではありますが、じっくり見ていくうちに次第にどことなく表現したいものが......なんとなく分かる気がしてきます。
娘のあやこを描いた作品がいくつかあるのですが......泣けそうになりました。
よく...わからないのだけど....何故だか悲しそうに見えるのです。とても穏やかで微笑んでいる様に描かれていますが....。といっても...顔には何も描かれていません。のっぺらぼうなのです(描かれているものも2つほどありましたが)。でも、おそらく微笑んでいるだろうと、自分には感じるのです。「あや子あやとり」、「白痴の愛」、「娘の肖像おぼへがき」、「あやこ月魂」....など。
他には牛や馬の絵が多いのですが、特に病気に苦しんだ晩年には、馬がこれでもかといくつも絵になっています。こちら側に背を向けて月や太陽を見ている構図なのですが、死期を悟って、来世への絵だとか...説明されていましたが....、あれらはぐっと心に来ます。真っ白なカンバスに真っ赤な馬。
一番好きだったのは、「牛と幼き娘」。
牛と少女が寄り添っていて、少女の表情がとても好きです。これは顔がきちんと描かれていて、その表情は微笑んでいます。.......優しい気持ちになれそうな絵です。
もしかしたら、この娘は、あやこなのかも。
見る前は、あまり乗り気ではなかったのですが、本当に見て良かったと思っています。自分の好きな絵っていうのは、ぱっと見て何が描かれているかわかるものばかりでしたので、その分、とても新鮮で、見る者が絵から意図するものを読み取らなければいけないという気にさせる......気付かせてくれた画家でした。
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
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