Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
« 横浜 | メイン | 総力を結集させなくては...。 »
夢の美術館 印象派100選

 そういえば感想を書いていませんでした。
地上波では2/11(祝)にNHK総合で放送されるようです。これもぜひ見てほしいなと、個人的にはオススメしたい番組です。

 今回の夢の美術館は、絵画で最も人気があると思われる、印象派にスポットを当てた内容で、「夢の美術館」サイト内の100選リストを見ても分かる様に、モネ、マネ、ルノワール、ドガの印象派、ゴーガン、ゴッホ、セザンヌの後期印象派画家の絵が複数選ばれています。それに加えて、新古典、ロマン、象徴主義などの絵もきちっと選ばれていて......おそらく見たことのある、超有名どころの絵ばかり登場するので、6時間の長い番組もあっという間に過ぎてしまうと思います。

 個人的には、以前書いた様に、モローとロートレック、ビアズリーが大好きですが、もちろんモネなどの絵も大好きです。今回リストに入らなかったオランジュリー美術館にある、巨大な睡蓮、あれは入れてほしかったです。ジベルニーに大きな庭園/池を蓮のために作り、そこで沢山の睡蓮の絵が生まれたわけですが、睡蓮の他にもルーアン大聖堂、カミーユ夫人に着物を着せモネらしくない、はしゃいだ作風の日本的趣味、そして同じくカミーユ夫人をモデルにした、日傘の女、サン・ラザール駅、どれも最高! さすが印象派のオーソリティ.......。でもまあ、やっぱりモネっていったら睡蓮か。あれだけ描いてしまうと、もう誰も睡蓮の絵は描けませんね。描いたとしたって誰があれより良い絵を描けるでしょう? 毎日毎日、睡蓮の池の前でスケッチをしていたというのだから、そして、朝、昼、夜と、変化していく様をも描いているのだから、すごい。同じ風景は二度とない、とか言っていたような。
 ルノワールも大好き。ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木漏れ日の下でのカフェの絵。あれを見ると、なんだかその場所へ行ってみたくなってしまうような、賑やかさと楽しさがあの絵には溢れていて....好きです。西洋美術館に展示してある、ハーレムも好きかも。中近東風のフランス人を描いただけなのですが、それを知る前までは、そのまんま中近東のハーレムを描いていたものかと、思い込んでいました......。


 あとはやっぱり、マネのオランピア。
番組内では、ヌードの代表作、ゴヤの裸のマハ(&着衣のマハ)、アングルのグランド・オダリスク、マネのオランピア、と紹介されていましたが(いや違ったかも)..........個人的にはオランピアが激萌絵。スタイルのいいモデルで描くのがふつうですが、オランピアは、娼婦をモデルにして、しかもそのまま娼婦を描いたわけで...その生々しさが、凄い! 目を逸らさずに、こちらを見つめている(というよりむしろ見下しているようにも見える。)あの挑発したような堂々とした眼差しにやられます。素っ裸ではなく、チョーカーとサンダルをさりげなく身に付けているのが妙にいい。.......いや、身体を張って生き抜いている人がモデルになっているのだから、強力なのもうなずける。生々しいといったら、印象派ではありませんが、ティツィアーノのウルビーノのビーナスも凄い。あれも一押し。青い血管さえも描かれている程に生々しい。
 そういえば、なぜかウルビーノ、オランピア、共に、傍らにネコや犬の姿が......。なぜなの。オランピアのネコはカワイイ。ぴょこっと右側に黒猫が描かれています。


 ミレイのオフェリアも好き。溺死した女性が仰向けになって水面から顔を出している絵ですが、内容の割に幻想的で、なんとなくモローにも通じるところがあるような感じ。

 で、モローの絵ですが、個人的には選んだ絵が違う気がします。「出現」はやはりルーヴルにある水彩の方を選ぶべき。油彩の方のは、サロメとヨハネのみしか描いていない感じだし、未完成っぽい感じがなんとも。サロメの表情は油彩の方が好みですが。もう一枚の「雅歌」、またマイナーな絵を紹介して..........日本でも見られる絵、ということで、大原美術館所蔵のこれを選んだのでしょうが........うむぅ。モローで選ぶなら、「オイディプスとスフィンクス」、「ヘロデ王の前で踊るサロメ」、「出現」(水彩)が妥当。「オイディプスとスフィンクス」の絵はたぶんモローの名を知らなくても見たことある人多いはず。「ヘロデ王〜」のは、かっこいい&綺麗の一言に尽きます。 それにしても、意外にもモローの絵の紹介に時間をかけてくれてなんだかすごい意外でした。軽く紹介されてすっとばされるものだと思っていたので、嬉しかったです。最初に紹介されたのは美輪明広によってだったので、うげっ、って感じでしたが、やはり色物扱いなのかなぁ、モローの絵って。そりゃあ、血のしたたる生首が宙に浮いてる絵が代表作じゃあ、仕方ないのか........。_| ̄|○

 ロートレックは、わざわざ絵以外にも、ロートレックのレシピを再現したのには、思わずにんまり。ロートレックは、美食家でレシピ集も出しているんです。(中には料理のレシピではなく社会を皮肉ったものもあるが) おいしそうな料理でしたね〜。出演者がみなおいしそうに召し上がっていました。

 そこで、出演者の話ですが、
高階秀爾にもう少しいろいろな話をしてもらいたかったのが一番の感想かな。美術評論家として有名な方で、西洋美術に大変詳しい方のハズ。前回の夢の美術館で的確に説明してくれていたので、今回もすごく期待していました。もちろん各話題ごとにきちっと話して締めてくれたのですが、もう少し時間をあげてもよかったのでは、と思います。
 他の出演者も.......山口もえにはなんていうかシスプリの亞里亞みたいで、なんだか話を聞いている内に日が暮れてしまいそうな感じで........。あの感じが良いのかもしれませんが。銅版画家の山本容子はけっこう好印象でした。芸術をやっているだけあって、意見が確か。ちなみに石澤アナはけっこう好き。以前、新日曜美術館の司会していたときから、好きでしたが、今回もはじけてくれるのかと期待していましたが、前回同様、やってくれた! ロンドンまで赴いてホームズに扮して名画を探っていました。演技はxxxだけど、爆笑。またやってください。w


 と、今回は、かなり視聴者を狙っているような内容でした。今まで絵を見たことがない人でも気楽に見られる様に構成されている気がします。オススメです!

...............見た後、オルセー、ルーヴルに行きたくなってしまうかもしれませんが。w
http://www.nhk.or.jp/yumebi/

† | TOPへ▲

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.seventh-heaven.jp/diary/mt-tb.cgi/258

癲 狂 院 [+] -Cruel Insane Asylum- Copyright© Yusuke Kobayashi S E V E N T H † H E A V E N メール
TopUp HiUpDownDown HiBottom