Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
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内容から作者の人柄を.....。

 作品からその作者の人柄を窺い知ることができそうですよね。

どうしたって作者の嗜好や思想が表れてしまうものです。例えばコミックで作品内のキャラが喋るセリフは、当たり前ですがその作者が考えたセリフです。ストーリーの流れでの会話によるセリフならばそうでもないかもしれませんが、キャラがある話題/事柄について考えて話す........みたいなのだと、大抵はその作者の思想なのでしょう?  

 もちろんそうだとしても、作者の腹話術のように感じない、自然なものもあります。意図的なものを除いて自然に感じるそういうのは、主観的な感想ですが作品自体の出来が良いのではないかと思います。

 個人的に、いろいろキャラが喋っている割には、作者の腹話術を感じなかったものは.......コミックでは、「東京大学物語」とか......「スクールランブル」もそういえばあんまり感じなかったかも。「東京〜」の主人公の村上直樹は、ある意味、作者の江川達也の思想とは真逆の立場で、ある種の典型的な人格の集合のような面を持ち合わせた人間なので、そう感じたのかもしれません。あれほどぐだぐだ喋っている割には、ほんとう自然でした。「スクラン」は.....シリアスなセリフは内容上、「ネタ」で喋らせているものだと思って往いたのでそう感じたのかもしれません。まあある意味「東京〜」も壮大なネタだったとも言えますが。(かなりネタバレですが) 他に読んだことのあるのだと..........「3×3EYES」なんかもそうかな。


 それに反して、作者そのものだなあと感じたものと言えば.........「こち亀」かな.........。流行りものとかに両さんが飛びついてあれこれ評論したり、社会について何か物言いするのって、まさに作者本人の言葉って気がします。おおむね同意なのが多いので嫌いではありませんが。嫌い.....というか自分とは違うかな.......って感じるのが、「ホリック」。絵や内容の要素は大好きですが、そこの部分がどうも好きになれません。以前、NHkの「トップランナー」にクランプが出ていましたが、あれを見ていて何となく納得しました。........まあコミックのストーリーにもちょっと無理がある部分のせいもあるのかもしれませんが。


 以前、本のレビューで、作者の引っ張る運命の糸が見えてしまうのは興醒めである....と書きましたが、コミックにおいても同様に言えそうですね。


 そんな話はその辺にして.........そういう作品から作者の嗜好が読み取れそうなものがあるわけです。
最近読んだものの中で気になったものがあって..........全然大したことじゃないのですが以前紹介した「少女セクト」でして、ポール・アンカ「ダイアナ」とフェンダー・ハイウェイ1の名が出ていたんです。
この「少女セクト」1、2巻を買ったはいいものの、実を言うと殆ど読んでません。1巻の初めくらいで読み止めてそのまま放置気味。たまたまもう少し読んでみようかな...と思ってパラパラめくっていたら、1巻の巻末の2巻の予告に「〜フェンダー・ハイウェイ1が轟き〜」なんて書かれていたので、気になってその部分を探したら、ポール・アンカの「ダイアナ」を弾く......とかいう部分が。

 フェンダー・ハイウェイ1っていうのは、予想通り、ギターメーカーのフェンダー(USA)。ラインナップの中でもやや低価格のシリーズで、ギターかと思っていたらベースでした。こんな固有名詞をなんで使うのかちょっとよく分かりません ストラトとかレスポールとかなら分かる気もするけど、敢えて現行ラインナップの商品名を書くってのも.......ねえ。別に有名なシリーズでも何でもないのに。作者本人が持ってそう....なんて邪推してしまいます。

 それはともかく、ポール・アンカってのも...........。このコミックの読者の中で果してポール・アンカの名前を知っている人がどれだけいるか..........。1950年末から60年代にかけて活躍したミュージシャンなのですが.........。もう殆ど過去の人...でしょう? と思いきや調べてみたら去年辺りにカバーアルバムを出してました。でも活躍していたのはその当時ですよね。 う〜ん、なんか作者って意外に年喰ってそうな気もするけど、若い様な気も。仮に若かったとしてもそこでポール・アンカの名前を出すところが.....う〜ん。
 例えば、女子高生が、ギターやベースを持っているのは別に普通にありえることでしょう。でも、そこで弾こうとするのがポール・アンカってところに違和感を感じてしまいます。たまたま作者のサイトを見つけてBBSを見てみたら、同じ様なことを質問している書き込みに対して作者がレスをしていましたが、その曲の歌詞に意味があったそうです。でも........、ポール・アンカを知っている女子校生がどれだけいるかってことです。他にも、パワーブック(アップルのノートパソコン)を愛用している別のキャラは、スティーヴ・ジョブス(アップルCEO)を尊敬している....という設定になっています。.........これはありえなくもないけど、そういうのは「ちょっと違うかな」って感じました。

 ともかく、その「少女セクト」では、登場人物の設定が細かいのですよ。ところどころにそういう紹介ページがあって、事細かに性格や嗜好なんかが書かれています。........これは個人的感想なのかもしれませんが、そういうのがいかにも「おたく」っぽい気がしてしまって、好きになれません。もちろんそういう諸設定があるのが好きな人もいるのでしょうが、少なくとも自分にはちょっと.....。内容が内容ってのもあるんだけど。1話ごとに必ず絡みを入れなければいけないのだから、いちいち諸設定を話の中で登場させる余裕がないのかもしれません。

 実社会における様々な人物やモノを引用することによってリアルさを出しているのかもしれませんが、作者の博識さ故に、キャラに不自然さが表れているように思えます。申し訳ないですが、博識なおたく.....そういうイメージにしか思えなくて。築き上げた機械仕掛けの妄想世界で、人形を踊らせているかのような..........そういう風に見えてしまいました。

 でも作者が多方面に詳しそうなのは確か。ちょっと羨ましい気もしますが...........いややっぱり憧れるのはやめておこう。でも、1巻の表紙絵だけはきっちり技を盗むぞっ!


(2006/10)

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ちょうど1年前に書いてあった下書きです。
他にもいくつか残っているので近いうちに公開しておこうと思います。

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