Diary of a Madman

癲狂院に置かれた或る一冊のノートブック
狂気の記憶が焼き付いた、深淵なる倒錯の記録の数々。
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続・みるくメイド

おととい見てきました。
まずは当日の館内の様子から。

 日曜の朝9時半前に(東京メトロ千代田線)乃木坂駅 美術館直結の出口に着き、国立新美術館のシャッター前に30人程度、すでに人がいました。たしか9時半になってシャッターが開き、美術館へと行けたと思います。既にチケットを持っていたので館内へ入り、閲覧開始時間を待ち、これも記憶が定かではないのですが、9時45分くらいには(展示会場へ)入れさせていたと思います。

 入ってすぐに会場中程にあるフェルメールの「ミルクメイド」へ。
絵の前に客足を前後へ二手に分けるロープが張られていて、前は立ち止まれないが近付いて見られる列、後は少し遠いがじっくり立ち止まってみられる列、というふうに分けてありました。当然、開館時間すぐに入れたので、その時は並ぶ必要もなく前列の本来立ち止まっては見られない場所でもしらばく立ち止まって見ることが出来ました。5分か10分すると、チケット売場も開き、そちらから人が来始め混雑してきたところで、2列に分かれルールに従うよう、アナウンスが。

 よく見られたので、それから他の絵を見て回り、再びミルクメイドのフロアへ来た時は、人だかりが出来ていました。

 見てきた感想としては、絵をじっくり見たいならば、双眼鏡は絶対持っていくべきです。事前に買っておいたので本当に重宝しました。あるとないのとではだいぶ満足感が違うと思います。結局、近くから見られる前列でも立ち止まって見ることが出来ないので、せいぜい1分の間に1.5m先の40cm四方の小さな絵を見ても、「見た」というだけで「観た」という具合にはならないと思います。それなら後列から双眼鏡でじっくり観た方がずっと良いです。後列のロープ前でなくてもそれよりずっと後の、5mくらい離れた所からでも双眼鏡ならば問題なく細部まで観ることが出来ました。

 事前に買った双眼鏡は、「Vixen 双眼鏡 アクティM8X21 7257」です。アマゾンでお急ぎ便で注文しました。本当に指定された日(翌日)に届きました。コンパクトですし、かさばりませんし、これくらいのサイズの双眼鏡はお勧めです。


 照明具合が悪い....という情報を前に書きましたが、確かに場所によっては照明が反射し見辛い場合があるかもしれません。(特に近付いて観た場合) 双眼鏡を持って後から観る分には大丈夫だと思います。絵も比較的高めに掛けられているので、人の頭で観られないということもそんなにありませんでした。

 ちなみに、混雑具合は、同美術館でこの前まで開かれていたモネ展ほどではありませんでした。それでももちろん混み合いますが、思った程ではなかったと思います。


 肝心の絵の内容ですが、言われている程フェルエール以外の絵が悪いとは思えず、むしろなかなか良かったと思えました。確かに画家によって質感の表現等のクオリティの良し悪しがあるのは確かなのですが、何気ない、ごくありふれた当時の生活が1シーンのように額に収められているかの様な、そんな気がして好きです。活き活きとしている、そんな感じです。観ていて気付いたのが、描かれているものが多彩で、メインの人物以外の絵の隅々まで事細かに描かれているのが多く、いろいろな発見が出来て見つけた時はおもわずにまっとしてしまいました。動物も多く、犬が描かれているのが数点ありました。また、どの絵も、背景が暗く、全体的なトーンも茶色ぽい感じで、落ち着いた、レトロな、それでいてどことなく明るさを感じる......そういう雰囲気でした。


 フェルメールのミルクメイドは、「フェルメールだから」というわけではなく、やはり素晴らしかったです。たとえばパンの描写なども他の画家のとはリアルさが違います。他の画家でも緻密な描写がなされていたのもあったのですが、それでもフェルメールのはやはり独特で、..........なんなんだろう.......リアルなのに単なる描写に終わらず、整然と絵としての風格があるというか...........。

 フェルメールは構図を綿密に行っていた画家だったようで、カメラオブスクーラとよばれるカメラの元になった機具を用いてパースペクティブを正確に捉えたり、レンブラントの光にも通じる様な、窓から差し込むやわらかい光を光源にしたり、色彩を鮮やかにするために高価だったラピスラズリを顔料にして、青色に使ったり下地に使っていたりしていたようですし、名画の裏には数々のアイデアが盛り込まれているわけですね。事実、今回のミルクメイドにも試行錯誤の跡が確認されていて、映像等でも館内で解説されていたのですが、背景の壁に何か書き足したり消したりした跡があちこちにあるようですし、パースを正確に書くために、消失点にピンを留めてそこから糸を引き当たりを付けていったようです。あとフェルメールの特徴として、光沢を白い点で表現するというのがありますよね? ああいうのはやはり双眼鏡でないと分かりません。


 ...................と短くまとめるはずが長くなってしまいました。フェルメールも良かったけれど、その後、上野の森美術館で観たシャガールのもとても素敵でした。優しくロマンティックで和む絵。若い女の人が割と多めだったのも頷ける。こちらは入場料が1000円だったけど、それ以上に充実していたように思えます。シャガール展もかなりお勧めです。こちらは混んでいないし建物も小さめですので、どこか和んで観られる気がして、けっこうお気に入りです。シャガールの絵ってなんとなくうっとりしてしまうんですよね。また観てみたい気にさせられます。あぁぁ...西洋美術館ではムンクもやってるし都美ではフィラデルフィア美術館展もやってる.............。まさに芸術の秋ですねえ。

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